経営者の方であれば、労働者を会社に雇入れしその後就労を継続していく際には、労働基準法、労働契約法等どちらかというと労働者を保護する要素の強い労働法規を順守していく必要があります。雇入れの際には、使用者と労働者の間で労働契約を結びますが、この際、労働基準法、労働契約法、パートタイム労働法等を根拠に、書面で分かり易く労働者に一定の労働条件を説明・明示する必要があります。
本来、厳密にいえば契約そのものについては書面で行わなくとも直ちに違法とまではならないのですが、これらの法律によって実質的に書面で契約を交わす必要が生じます。この入社の際に交わす労働条件に関する書類は、一般的には「労働契約書」「労働条件通知書」「雇用契約書」「雇入通知書」など会社によって呼称は様々ですが、求められる要件については全て同じになります。
加えて、これらの書面で明示が必要とされている事項以外にも、経営者には労働者が職場で就労するにあたっての安全に配慮する義務「安全配慮義務」というものが課されています。
具体的には、労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)により「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定されており、労働契約における使用者の安全配慮義務が明文化されています。
この他、実質的に労働者の健康被害を未然に防ぐ措置として、労働安全衛生法により雇入れ時と年1回(場合によっては半年に1回)の健康診断を実施する義務が会社にはあります。そして、健康被害は一定以上の労働時間を超えると精神疾患を中心に発生率が高まるため、平成31年4月から同じく労働安全衛生法により、会社には労働者の労働時間を適切な方法で把握する義務が課されています。