フリーランスガイドラインについて(社会保険労務士法人SOUMUニュースレター2021年6月号)

6月度のニュースレターになります。

今月号は、フリーランスガイドラインについての特集をしています。「フリーランス」という言葉を聞くと、これまでは通訳とかコンサルタント、ツアーコンダクターなどを想像し、非常に高いレベルの専門スキルを武器に難しい案件をバリバリこなしているという感じを受けていたのですが、皆様はどうでしょうか?この「フリーランス」という働き方、前述の職種は勿論ですが、最近ではウーバーイーツの配達員などより身近な業種にまで裾野が広がってきています。

そもそも、フリーランスとは何かというと、普通の会社員や団体職員の様に特定の企業や団体組織などに所属しておらず、自身が持っている一定の技能を直接顧客に提供し報酬を得ている社会的に独立した個人事業主のことを指すそうです。働くという観点からすると、労働基準法等の労働法に定義がありそうな感じもするのですが、特に法律で定められている用語ではなく、一般的には自由業とか単にフリーなどとも呼ばれています。

このフリーランスという働き方の一形態は、前述のとおり独立した個人事業主ということからも他の企業に属する専門職の人と違い、労働基準法など労働者保護の法律が適用されないため、報酬・業務の受発注等様々な面でリスクを背負っており、法律による一定の配慮が必要とされるところです。

そこで厚生労働省では、不安定な取引条件に左右されるフリーランスの保護に向け令和3年3月26日付けで、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定・公表しています。ガイドラインの内容は、独禁法・下請法・労働基準法を含む労働法の観点から、下記のとおり大別して5つの項目から構成されています。

第1:フリーランスの定義

第2:独禁法、下請法、労働関係法令との適用関係

第3:フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項(独禁法・下請法関係)

第4:仲介事業者が遵守すべき事項(独禁法・下請法関係)

第5:現行法上「雇用」に該当する場合の判断基準(労働法関係)

上記の5項目の内容について、それぞれ簡単に触れてみたいと思います。

第1について>

こちらのガイドラインを適用するにあたってのフリーランスの定義が述べられています。定義では、『本ガイドラインにおける「フリーランス」 とは、実店舗がなく 、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者』とされています。

第2について>

フリーランスに対して、独占禁止法・下請法・労働関係法令がどのように適用されるのか、下記のとおり、基本的な考え方が述べられています。

〇独禁法:取引の発注者が事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、事業者とフリーランス全般との取引に適用。
〇下請法:取引の発注者が資本金1000万円超の法人の事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、一定の事業者とフリーランス全般との取引に適用。
〇労働法:フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けていると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用。

第3について>

フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項が、3つの基本的考え方として述べられています。

1:フリーランスとの取引に係る優越的地位の濫用規制についての基本的な考え方

2:発注時の取引条件を明確にする書面の交付に係る基本的な考え方

3:独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法上問題となる行為類型(全12類型)

第4について>

仲介事業者が遵守すべき事項について2つの注意点が述べられています。

1:仲介事業者とフリーランスとの取引について

2:規約の変更による取引条件の一方的な変更

第5について>

5つの基本的考え方からなる、現行の労働関係法令上「雇用」に該当する場合の判断基準が述べられています。

1:フリーランスに労働関係法令が適用される場合

2・3:労働基準法における「労働者性」の判断基準とその具体的な考え方

4・5:労働組合法における「労働者性」の判断要素とその具体的な考え方

 

こちらの特集の他、顧問先の皆様には完全版でお届けをさせていただいております。

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