雇用調整助成金による「勤労意欲低下」への対応策について(社会保険労務士法人SOUMUニュースレター2021年10月号)
10月度のニュースレターになります。
今月号は、雇用調整助成金による「勤労意欲の低下」への対応策についての特集をしています。
一昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う企業活動の一部停止に伴い、日本では雇用調整助成金という雇用保険を活用した国の助成金制度を利用しながら、労働者の雇用維持を図る施策が現在も採り続けられています。ここで、改めて簡単に同助成金に係る諸制度のおさらいをしてみたいと思います。
雇用調整助成金とは、今回の新型コロナウイルス感染症の影響などにより、企業が事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために労使間の協定に基づき雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。以前、リーマンショックの時に多くの企業で休業が実施された際にも利用された助成金と基本的には同じ趣旨のものですが、助成率や上限額、適用条件等細かな点において違いが見られます。
また、休業手当についてですが、日本では事業主の都合により労働者を休業させた場合、法律(労働基準法第26条)の定めにより一定額以上の金銭補償をすることが義務付けられています。この際に支払う一定額以上の金銭補償に相当するものが休業手当と呼ばれています。休業手当の金額は、労働基準法第26条により平均賃金(通常の給与ではありません。)の100分の60以上と厳格な決まりがあるのですが、実際の支給が法律通り6割支給だとすると、社会保険料の負担などを考えると労働者側としては正直厳しい遣り繰りを迫られると思います。
一方、企業側としては休業を迫られる状況の中、6割以上の支給を行うことは生死に関わる問題でもあるため、そう簡単に満額10割支給とはいきません。こうした問題を解消するため昨年から始まった雇用調整助成金制度は、一定の上限額までという制約はあるものの、企業が休業手当を支給率100%で行った場合、その全額を助成するという点では十分に評価できる制度だと言えます。
現在の雇用調整助成金は、事業主都合による解雇がない場合「1日当たり上限13,500円、助成率90%」が原則となっています。ただし、売上30%減以上など一定の要件に該当する企業については、「1日当たり上限15,000円、助成率100%」まで内容が拡充されます。
こちらの特集の他、顧問先の皆様には完全版でお届けをさせていただいております。
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