民法改正に伴う未払い残業代の請求時効<ニュースレター2019年7月号>

7月度のニュースレターになります。

今月は、民法改正に伴う未払い残業代の請求時効が5年に延長されるかどうかについて取り上げています。
現在、労働者の賃金に関する法律上の時効については、労働基準法第115条で賃金(退職手当を除く)請求権の時効は「2年」とされています。なお、退職手当については同条により「5年」となっています。この賃金の中には、通常の基本給や職務手当、交通費などの他、時間外労働、法定休日労働、深夜労働など労働基準法第37条で定められている各種割増賃金も当然含まれることとされてます。

ところで、同じ法律であっても労働基準法は民法の特別法であり、一般的に労働者にとって民法上不利な部分を強制的に補正し、労働者の権利を保護するような形をとっています。今回の民法の改正では、簡単に言うと賃金を請求出来る権利の時効が5年に延長されることになるため、特別法である労働基準法との逆転現象が起きてしまいます。

本来であれば、労働者にとって不利な点を解消するため、特別法である労働基準法がある訳なので、確かに労働基準法の時効が2年のままで変わらないのは、整合性がとれているとは思えません。このため、労働基準法の時効を民法に合わせて改正し、賃金の請求時効を5年に延長するかどうかが国で審議されています。

労働者側にとっては有利になり、また民法と労働基準法との整合性がとれわかり易くなるという点は好ましいのかもしれませんが、企業側特に中小零細企業にとっては、致命的なダメージを与えかねないケースも想定されるため今後の動向に注目する必要があります。

実務上、いますぐに取り組める事としては、①勤怠管理をシステム化する等、労使双方にとって透明性を高めること、②意味の不明な余計な手当を見直すとともに、正確な残業代の単価を把握すること、の二点が挙げられます。
①については、会社側には労働時間を適切に把握する義務が労働安全衛生法66条の8の3でも定められているため、日々の勤怠管理をきちんと行わなければならないことは当然なのですが、一歩踏み込んでより正確で管理面でも負担の少ないクラウドタイプの勤怠システムを導入することも最近の潮流です。
②につていは、今後施行が予定されている同一労働同一賃金の実施も踏まえ給与規程の見直しを行い、不用意に残業単価が上がってしまうことのないよう、各手当の性質や必要性の有無を検証することが望まれます。

特に基本給しか残業単価の対象にならないと勝手に決めつけ、余計な手当を沢山つけている企業は要注意です。企業規模にもよりますが、残業代の支払いを適切に行っていないことが発覚し、2年間も遡って清算をすることになると100万円単位になる事もあります。こうしたリスクを避けるためにも、いまのうちから勤怠管理と諸手当の見直しを行っておくことをお勧めします。

顧問先の皆様には、完全版でお届けするとともに、チャットワークでの解説もさせていただいております。

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