自己都合退職はなぜ2週間前でいいのか(ニュースレター2019年11月号)

11月度のニュースレターになります。

今月は注目のトピックとして、「自己都合退職はなぜ2週間前でいいのか」、についての特集をしています。
既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、2020年4月の民法改正により、労働者サイドからの退職申し出の期限が、より労働者に有利となる改正がされます。実務上、退職(特に解雇)の際に注意が必要な法律としては労働基準法がありますが、労働契約の解消ともいえる退職の形態は大別すると、①会社側からの申し出(いわゆる解雇)、②労働者側からの申し出(いわゆる自己都合退職)の2つになります。

①の場合、会社側には、法律的に労働基準法第19条(解雇制限)、同第20条(解雇の予告)、同第22条(退職時等の証明)の他労働契約法第16条(解雇)、同第17条(契約期間中の解雇等)などが関係しており、これらの法律により契約を解消するまでの期限や理由について雇用者(会社)側の権利を一部制限する形をとっており、あまり民法を意識することはないかもしれません。

②の場合、労働者側には、労働基準法など権利を一部制限する法律でなく、民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)が関係しています。実際の自己都合退職にあたっては、多くの企業で就業規則に具体的な規定を設けており、自己都合による退職を希望する者は30日以上前に所定の方法で会社に申し出をすること、などという文言が多いのかと思います。
会社側からすれば後任者への引継ぎを行ったり、そもそも後任者が不在のため後任者の採用活動をしたりしなければならないため、退職希望日の30日以上前という日数は妥当なところだと思います。


ところで、実際の民法第627条でどのように定められているかを見てみますと、

1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2.期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3.六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

となっており、第1項を素直に解釈すると労働者側からの退職(労働契約の解約)は、2週間前で良いということになり、就業規則との乖離が理論上は問題になります。

法律的には様々な説がありますが、一般論としては法律と就業規則の効力を比較した場合、法律の方が効力が上という考え方を採るため、2週間で辞められてしまったとしてもやむを得ないと言えます。
逆に会社側からの労働契約の解除(解雇)については、前段の労働基準法等で一定の制限が課されているため、2週間でなく30日以上前の予告が必須となります。

退職の実務にあたっては、上記のような難しい問題が絡むため、可能な限り労使双方でコミュニケーションをしっかり行って退職することが望まれます。

 

こちらの特集の他、顧問先の皆様には完全版でお届けをさせていただいております。

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